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「在庫調整」の手法は、退職者の抜けたあとを補充しない、中高年社員の配転、解雇といったリストラ、新卒を中心とした若年労働力の採用の抑制などであった。
穴埋めに起用されたのが、非正社員である。
非正社員の位置づけは一時的・臨時的な労働力というのが本来の姿だが、いつの間にか恒常的な働き方として定着してしまった。
背景には、経済団体が「新時代の「日本的経営」」として、その流れこそがメーンストリームなのだとアピールするなどの後押しもあった。
その結果、どうなったか。
雇用労働者の三人に一人近くが非正社員というまでに、膨れあがった。
雇用の多様化は、ライフスタイルの多様化にともなう時代の流れではあるものの、コスト削減に主眼を置きすぎると、労働条件の引き下げにつながる。
そして、正社員と非正社員の処遇のギャップがあまりにも拡大した理由の一つに、中高年社員の処遇の問題がある。
この点に言及したのが、経済学者のK、Aさんだった(「仕事のなかの暖昧な不安に揺れる若年の現在」T社、二○○一年)。
Kさんによると、重い人件費の主たる要因である中高年を整理することは、第一に、これまでの多額の人的投資の回収を困難にするため、企業にはそれを回避しようとする力が働くという。
第二に、整理解雇にあたっては、余剰人員の整理、解雇回避の努力、人選の合理性、手続き的配慮という四条件を満たさなければならないなど、厳しい制約がある。
これらの状況から多くの企業は、人件費は食うものの、中高年社員を抱え続けたほうが、経済合理性にかなうという判断をする。
結局、中高年の既得権はそのまま維持され、その分、若年層の就業機会が奪われてきたと、Kさんは指摘する。
もちろん、リストラはおこなわれた。
リストラとは、長年貢献してきた社員に、退職などをうながすことである。
一昔前の言葉に置き換えるなら「クビ」。
だが、人の一生を左右するこの一大事が、あたかもよいことのように語られた時代というのは過去になかったのではなかろうか。
リストラを断行する企業は、不良債権などの処理に前向きな企業、というイメージで受け止められた。
リストラを最前線で断行したのは、中間管理職である。
彼らは、苦悩の日々だった。
リストラを通告した社員に脅されて、自殺するなどの悲劇も起きている。
自殺した男性は、苦悩を上司に訴えたりしていた。
しかし自力解決を言うのみで、悲劇を食い止める力にはならなかった。
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